キノの旅Ⅰ

書籍レビュー
8.1

ストーリー

8.2/10

キャラクター

7.2/10

読みやすさ

8.3/10

読了感(満足感)

7.6/10

続きを読みたい

9.0/10

いいところ

  • 一話完結型で読みやすい
  • 旅人キノと国の住人たちの距離感
  • キノのバックボーン
  • 風刺が効いている
  • 哲学できる

悪いところ

  • 時系列がはっきりしない
  • イラストが少ない
  • 人によっては単調に感じる
基本情報 
ジャンル:ファンタジー、寓話
著者:時雨沢 恵一
(他の作品に「アリソンとリリア」シリーズ「ガンゲイルオンライン」などがある)
イラスト:黒星 紅白
(他の作品に「アリソンとリリア」シリーズ「ガンゲイルオンライン」などがある)
レーベル:電撃文庫(2000年3月より刊行中)
ページ数:約250ページ

概要

2000年3月に刊行され、2020年現在も22巻が刊行されているラノベの長寿作品。2003年にアニメ化され、それをベースに同年にゲーム化、2005年に映画化された。その後時を経て、2017年に完全新作として二度目のアニメ化がされた。
著者曰く、モデルは「銀河鉄道999」

あらすじ

この世界にはいわゆる都市国家がたくさんあり、多くの国が外壁で囲まれている。
その国の中にはいろいろな価値観や文明や慣習があり、10代中頃の旅人のキノが、しゃべるバイクのエルメスに乗って次々と旅をする。キノには国に滞在する際に、特に特別な理由がない限りは3日までしか滞在しないというルールがある。
乗り物がしゃべることが一般的に受け入れられているが、必ずしもしゃべるわけではないらしい。

おすすめの話

第三話「レールの上の三人の男」

線路で働く男たちにキノが話を聞いていく話。

人によって感じ方が変わる話。コミカルだったりシュールに感じる人もいれば、世の中の縮図に見えて無情を感じる人もいると思う。

第四話「コロシアム」

相手が降参するか死ぬか、という勝利ルールのコロシアムでキノが戦う話。日本刀で戦う旅の青年シズと、しゃべる犬陸(りく)が登場する。

キノの新しい一面が垣間見えて、なかなか殺伐とした話。陸がいい癒し要素になっている。キノの旅という物語においてなくてはならない話のひとつ。

第五話「大人の国」

キノの一番古いであろう過去の話。また、エルメスとの出会いも語られる。

ハードで辛い話。倫理感について考えさせられ、「大人とは?」ということについて哲学できる。
個人的には、大人(特に親)の言うことは鵜呑みにするなということを教えられた。キノの旅という物語においてなくてはならない話のひとつ。

まとめ

とりあえず、おすすめした話だけでもぜひ読んでほしい。一話完結型で読みやすいので、活字が苦手な人でも導入にはもってこいだと思う。
わりと淡々と物語は進んでいくが、余計な味付けがされていないので、物語が直接感性に刺さる。若干の注意点としては、過度ではないが人の死が頻繁に描写されているので、苦手な人は苦手かもしれない。

キノは自分の価値観で生きている。決してご都合主義のヒーローではない人間なのだ。あくまでも旅人で、基本的にその国のルールを否定したり、深く介入したりはしない。

現実世界でも外国の文化や個人の価値観を否定したりする人がいるが、倫理観に反したり自分に危害がない限りは事実として受け止めて、受け入れてみてはいかがだろうか。

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